1914年10月のキリストの臨在に、エホバの証人のすべてが集約されている。
キリストの臨在とは、1914年10月、イエス・キリストが天の王国に王として即位し、今でもなお臨在している、ということを指している。
エホバの証人が言うには、この時こそが終わりの日の始まりであり、サタンが地上に投げ落とされた時でもある。それゆえに、地上では災いが絶えなくなったが、翻って見れば、これこそがハルマゲドンの戦いが近い証拠であり、天にイエスが臨在している何よりの証拠でもある、という。
だが、証人たちの主張とは裏腹に、キリストの臨在をその目でじかに確かめた者は誰もいない。そして、今はどうも、終わりの日ではなさそうなのである。
1914年10月の預言
1914年10月の預言は、エホバの証人の教義の根幹を成すものである。
エホバの証人では、1914年10月という年月を算出するに当たって、次に挙げるように、聖書の記述をアクロバティックに繋ぎ合わせることによって導き出している:
① 異邦人の時は、エルサレムの崩壊に始まる。
② 異邦人の時は、法的権利者の出現に終わる。
③ 異邦人の時は、七つの時である。
④ 七つの時は、2520年間である
次に、この方程式に沿って、以下のような推論が繰り広げられる:
① エルサレムの崩壊は、紀元前607年に起こった。
② 紀元前607年から2520年を数えると、1914年になる。
③ 法的権利者とは、イエス・キリストのことではなかろうか?
④ もしそうならば、イエスが天の王に即位しているにちがいない。

1914年10月の預言とは、聖書のつぎはぎ方程式に沿って導き出されたエホバの証人の希望的観測だったのである。
終わりの日
エホバの証人では、終わりの日をキリストの臨在の証拠として挙げている。
終わりの日とは、サタンが天から投げ落とされ、それによって地上に災いが起こる期間を指している。その災いとは、戦争、食糧不足、地震、そして疫病のことである。これらの災いが、1914年10月を境にして増している、というのだ。
だが、これも以下のような聖書のつぎはぎ方程式による推論に過ぎない:
① 終わりの日には、サタンが天から地上に投げ落とされる。
② イエスが天に臨在しているなら、サタンが天から地上に投げ落とされたにちがいない。
③ 1914年10月以降、地上で災いが増しているような気がする。
④ もしそうならば、イエスが天に臨在しているにちがいない。

終わりの日も、聖書のつぎはぎ方程式に沿って導き出されたエホバの証人の希望的観測だったようである。
今は終わりの日ではない
地上の人口は増加の一途をたどっており、1900年に約16億人だったものが、2000年には約60億人に達している。そして、2050年代までに100億人に達すると見込まれている。

今が終わりの日であるならば、サタンの災いによって、地上の人口は減少しているはずである。だが減少することはなく、逆に増加しているというののは、どうしてなのであろうか?
それはとりもなおさず、終わりの日は幻想であった、ということであり、それが指し示すところ、キリストの臨在も幻想であった、ということになる。
これでも終わりの日にこだわりたいのであれば、神の本質を疑わなければならない。
なぜならば、人口が増えればそれだけ、ハルマゲドンの戦いで永滅できる人間の数が増えるのだから。